組み入れ数は37人(男/女 25/12)で、平均年齢70.8歳(標準偏差11.9)、BMI 24.3(同2.8)であった。アンケート調査の結果、37人中8人がニシヨモギ、ホソバワダンのビタミンK含有量が多いことを知っていたと回答し、ニシヨモギおよびホソバワダンを週に1回以上摂取するのはニシヨモギが5人、ホソバワダンが4人であり、うち2人が重複していた。主要評価項目は19人に観察された。PT-INRの0.5以上の上昇が16件、ワルファリン用量の減量が6件(重複あり)観察され、出血事象は観察されなかった。副次評価項目はPT-INRは前値1.9±0.7(平均値±標準偏差:以下同様)、4週間後に1.9±0.6(p=0.43)、ワーファリン用量は前値2.9±1.3 (mg)、4週間後2.9±1.3へ(p=0.21)、血中ビタミンK濃度は前値0.56±0.52 (ng/ml)、4週間後0.55±0.31へ(p=0.46)であり、それぞれ有意な変動はなかった。ビタミンK含有量の多い沖縄野菜を週に1回以上摂取しているのは、対象集団37例中7例(19%)であった。 本研究は対照群を置いていないため、結果の解釈には限界があるが、参考値として、12週間の経過中PT-INRが0.5以上低下またはワルファリン用量の増量が観察された症例は15例(PT-INR低下7例、ワルファリン増量10例、重複あり)であり、ワルファリンの薬効が弱まる方向への変動が主要評価項目と同程度存在し、副次評価項目の変動が有意でないということも考慮すれば、沖縄県内でワルファリンを内服中の患者一般ではニシヨモギおよびホソバワダンの摂取制限の指示は臨床的に有意な影響を持たないと考えられる。
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