保育園では、0歳児からのまだ免疫力も体力も弱い乳幼児が集団生活をしており、かつ接触が学校とは比較にならないほど濃厚であるため感染症が流行しやすい環境にある。そこで、発症者の情報を嘱託医、保健所、市町村・都道府県管轄部署と共有し、早期に対策を実施することは、インフルエンザの対策だけではなく、ノロウイルスや水ぼうそうの対策としても有効である。そのためのシステム開発を行い、4県、46市町村(1政令指定都市、4中核都市、2特別区)で導入できた。発症者、欠席者の症状別(発熱、嘔吐、下痢など)、疾患別(インフルエンザ、水ぼうそうなど)に登録をすると、各保育園で自動的に表、グラフ作成ができ、そこにベースラインに比べて異常に増加していることを探知するアラートを表示させた。またリアルタイムで関係者、中学校区単位での地域情報として地図表示させた。このことにより、地域での流行の兆候を把握することができた。これらの機能のほかに、月報の自動作成や罹患率の自動計算ができるようにし、麻しん、風しん、腸管出血性大腸菌、結核の場合には、一人発病したら対応できるように登録と同時に関係者にメール配信することとした。2010/2011インフルエンザシーズンや2010感染性胃腸炎流行に活用され、状況把握に役立った。
|