保育園は乳幼児が集団生活をしており、かつ接触が学校とは比較にならないほど濃厚であるため感染症が流行しやすい環境にある。そこで、発症者の情報をリアルタイムに嘱託医、保健所、市町村・都道府県管轄部署と共有し、早期に対策を実施することは重要である。そのための情報共有システム開発を行い、80市町村(6県、1政令指定都市、4中核都市、2特別区含む)約4000園で導入した。 システムの内容は、発症者、欠席者の症状別(発熱、嘔吐、下痢など)、疾患別(インフルエンザ、水ぼうそうなど)に登録をすると、各保育園で自動的に表、グラフ作成ができ、そこにベースラインに比べて異常に増加していることを探知するアラートを表示させた。またリアルタイムで関係者、中学校区単位での地域情報として地図表示させた。このことにより、地域での流行の兆候を把握することができた。麻しん、風しん、腸管出血性大腸菌、結核の場合には、一人発病したら対応できるように登録と同時に関係者にメール配信することとした。導入にあたっての、研修会、操作説明会、導入後のフォローアップ研修会を開催し、それぞれの保育園でのグラフや罹患率の参照などの活用、地域単位での地図や流行曲線の活用ができた。 保育園を対象に導入後のアンケート調査をし、専用webページで調査は2011年8月に実施し287施設より回答を得た。入力時間は5分程度で、毎日入力できているところが7割程度であった。メリットは、自施設情報がわかることや地図情報で地域の状況がリアルタイムにわかるなど有効に活用できていた。また管轄部局である自治体の保育課を対象に導入後のアンケート調査を行い、調査は2011年8月に実施し78市町村より回答を得た。システムを利用することで、感染症を早期に探知することができ、関係者と早期に連携し対応でき、個別の保育所の状況把握や感染症対策の心構えに役立っていた。本システムは、保育園の感染症対策に役立ち、子どもを感染症から守るために使われた。
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