研究課題
本研究では、新規ピロリドン誘導体および新規アダマンタン誘導体によるシナプス伝達の修飾を指標とした新規アルツハイマー病治療法の確立を目指した。これまでの申請者の研究により、ピロリドン誘導体であるnefiracetamがNMDA受容体グリシン結合部位を活性化し、認知機能を亢進することを報告した。この結果は、ピロリドン誘導体によるシナプス伝達の修飾がアルツハイマー病治療に有効である可能性を示唆する。そこで本研究では、新規ピロリドン誘導体およびNMDA受容体の活性化が基礎検討により認められた新規アダマンタン誘導体の中からNMDA受容体グリシン結合部位の活性化およびCaMキナーゼIIの活性化を有するシード化合物を探索し、nefiracetamより有効な新規アルツハイマー病治療薬を、電気生理学的手法、生化学的手法、免疫組織化学的手法および行動解析により検討した。研究の結果、新規ピロリドン誘導体であるDM232においてNMDA受容体グリシン結合部位活性を有することが明らかになった(Moriguchi et al., in preparation)。また、認知機能障害を誘発する嗅球摘出マウスにおいてアダマンタン誘導体であるmemantineの慢性投与により、細胞内カルシウム濃度(CaMキナーゼII)の亢進が認められ、認知機能の改善効果が認められた(Moriguchi et al., in preparation)。本研究の結果より、今後、細胞内CaMキナーゼIIの活性化等を指標として神経変性疾患に対するNMDA受容体グリシン結合部位活性を有する新規ピロリドン誘導体および細胞内カルシウム恒常性の調節能を有する新規アダマンタン誘導体について電気生理学的手法、生化学的手法、免疫組織化学的手法および行動解析法を用いて検討する。
すべて 2010
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (9件)
PLoS One
巻: 5 ページ: e11602
J.Pharmacol.Exp.Ther.
巻: 333 ページ: 43-50
Neuroscience
巻: 166 ページ: 1158-1166