研究概要 |
1. 胃がん培養細胞株からの抗原候補タンパクの抽出:すでに当研究室にて購入した、4種類の低分化胃癌細胞株(OCUM1, NUGC3, NUGC4, MKN45)を培養し、タンパク質を抽出した。 2. 抽出した細胞株由来のタンパク質をSDS-PAGEによって分離し、そのタンパク質をPVDF膜に転写した。続いて、そのPVDF膜に対して低分化胃癌(por1, por2, sig)の3種類の血清を16症例ずつスクリーナブロッター(サンプラテック社製)を用いてアプライし、血清中に存在すると予想される自己抗体をWestern blotの一次抗体として反応させた。さらに抗ヒトIgG抗体(二次抗体)を反応させ、Western blotを行った。 3. 4種類の細胞と3種類の血清検体の組織型、合計12回のWestern blotを行い、より多くのレーンにおいて、共通して検出されたバンドをタンパク質同定の候補としてピックアップした。 4. アガロース二次元電気泳動を行い、低分化胃癌細胞株のタンパク質抽出液を分離し、特に3.において反応するバンドが数多く認められた血清検体を一次抗体としてアプライし、再度Western blot(二次元ウェスタン)を行った。3.のバンドと同じ分子量と予測される二次元ウェスタンのスポットをピックアップした。再度同じアガロース二次元電気泳動を行い、二次元ウェスタンでピックアップできたスポットに該当するゲル上のスポットを切り出し、トリプシンを用いてin-gel digestionを行った。これらを複数箇所のスポットにおいて実施した。 5. 得られたサンプルを用いて質量分析を行い、タンパク質を同定した。転写因子、細胞骨格系タンパク質、シグナル伝達系等のタンパク質でこれまでに癌との関連が報告されているタンパク質が30種類程度同定された。
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