研究概要 |
平成22年度の研究計画:下記の二項目についてretrospectiveに検討する。 1.手術標本を免疫染色しその結果と術前の生検組織の免疫染色の結果を比較検討する。 2.確定診断のついている検体を用いてIMP3免疫染色の診断率向上への寄与、臨床経過との相関を検討する。 上記の研究計画に沿って、6例の胆管癌手術摘出標本を用いIMP3免疫染色を施行。5例で陽性、1例で陰性であった。生検組織の免疫染色でも染色形態、強さの差は認められたが同様の結果が得られ、生検組織の小さな検体でも評価可能であることが示唆された。 次に胆管癌40例(生検診断可能26例、不能14例)、良性胆管狭窄10例(PSC5例、IgG4関連胆管炎2例、その他の胆管炎3例))を選択し、IMP3免疫染色を施行した。結果は、胆管癌40例のStaining extentは、negative(8例)、focal(15例)、diffuse(17例)であり、Staining intensityは、weak(5例),intermediate(13例),strong(14例)であった。生検組織のH.E.染色によって病理診断不能であった胆管癌14例のStaining extentは、negative(5例)、focal(7例)、diffuse(2例)であり、Staining intensityは、weak(4例),intermediate(4例),strong(1例)であった。最終診断良性胆管狭窄10例ではPSCの1例にfocalにweakな染色が認められたのみであった。IMP3の免疫染色がfocalのintermediate以上の強度あるいはdiffuseである場合を癌と診断すると、H.E.染色にて診断可能な胆管癌26例中23例、診断不能な胆管癌14例中6例が癌と診断された。 この結果より、経乳頭的胆管生検で得られた組織の病理診断においてH.E.染色の病理診断にIMP3免疫染色を付加することにより、より確実な質的診断が得られる可能性が示唆された。現在は選択された50例の予後調査など施行し、免疫染色形態と予後などとの関連を検討中である。
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