内視鏡的に採取された胆管生検検体を使用し、診断が確定している80例(胆管癌68例、良性胆管狭窄12例(PSC5例など))を対象としたretrospective な検討ではIMP3発現は胆管癌68例中54例で認められ、良性では12例中1例(PSC症例)で認められた。IMP3発現はH.E.染色にて診断可能胆管癌42/49例、診断不能胆管癌12/19例に認められ、IMP3免疫染色発現陽性を癌と診断すると、胆管癌診断に対する感度・特異度・PPV・NPV・AccuracyはH.E.染色病理診断(72%・100%・100%・39%・76%)、IMP3(79%・92%・98%・44%・81%)、H.E染色+IMP3(90%・92%・98%・61%・90%)となり診断能向上に有用である可能性が示された。 また、研究途中でS100Pの免疫染色が診断に有用であるとの報告がなされたため、同じ検体をもちいて検討した。結果はS100P発現は胆管癌68例中52例に認められたが、良性でも12例中6例で認められ、診断率向上には寄与しなかった。 最後に、摘出手術施行した胆管癌症例におけるIMP3発現と臨床像では有意な関係は認められなかったが、S100P陽性症例は乳頭型胆管癌に少ない傾向にあり(chi-square test: P=0.053)、予後が悪い(log rank test: P=0.016)結果であった。これらの結果を論文発表しpublishされた。
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