研究課題
CD109の分子機能の詳細を明らかにするために、本研究ではCD109をマウスの全身に強く発現させたトランスジェニックマウスを用いて、発癌過程などの病的過程におけるCD109の分子機構を個体レベルで解明することを目的とする。【CD109発現トランスジェニックマウスにおける表現型の確認】CD109の発現はCAGプロモーターで誘導を受けるが,系統および同じ系統内でも臓器の違いで発現のレベルが異なる可能性がある。CD109の強制発現がマウス個体の発生,成長過程に及ぼす影響を組織病理学に検討した。まず系統ごとにCD109発現トランスジェニックマウスより臓器を採取し,各臓器におけるCD109の発現レベルをタンパクレベルで評価した。大脳、小脳、臭球、肺、心臓、膵臓、副腎、膀胱、皮膚において、wild typeと比較してトランスジェニックマウスで発現が増強していた。Wild typeでは、精巣においてのみCD109の発現が見られた。血清中においては、より組織分布が広範な系統でCD109発現量が多かった。さらに免疫染色を行い、各臓器の組織構築におけるCD109の発現パターンを把握した。発現レベルは異なるが、2つの系統で腎糸球体において強くCD109が発現していた。CD109を全身に強制発現させたトランスジェニックマウスは,CD109による発癌促進機構について検討する上で極めて有用な研究ツールと成りうる。今回樹立した系統を用いてCD109の強制発現により発癌過程がどのように修飾されるか明らかにしていきたい。
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Biochim Biophys Acta.
巻: 1811 ページ: 119-128