| 研究概要 |
内因性ジギタリス様物質(EDLF)がナトリウムポンプ活性を抑制することでカルシウムイオン濃度を上昇させ血管平滑筋を収縮させ,脳内では交感神経活性を亢進させることで血圧を上昇させると考えられている.EDLFは主に副腎で分泌されているが,規床下部,下垂体にも存在し,末梢ではマリノブファゲニン(MBG)やその関連物質であるマリノブフォトキシン(MBT)が,中枢ではウアバイン(OUA)が主に作用していると考えられている.中枢でのOUAの存在や分泌調節因子の検討はラットを中心とするモデル動物で解明されてきているが,外因性の要素を取り除いた培養細胞系での報告はない.さらに中枢におけるMBGの検討は少なく,視床下部不死化細胞株を用いEDLFの候補物質であるマリノブファゲニン(MBG)が視床下部に存在の検討とOUAの視床下部での分泌調節因子の検討および副腎でのEDLFの分泌調節との関連を明らかにすることを本研究は目的とした.
視床下部不死化細胞株からMBG様免疫活性物質の分泌をELISA用いて確認した.さらにその中心物質の検討を液体クロマトグクフィー(HPLC),質量分析(LC/MS)を用いて検討を行っているが,MBG,MBT,OUAと異なる物質の存住が碓認された.
中枢でのOUAの分泌因子として視床下部不死化細胞株を用いた検討でもレニン・アルドステロン・アンジオテンシン系が関与することを示唆するデータが得られた.これらに基礎的データをもとにさらに副腎でのMBG様免疫活性物質の分泌にもアンジオテンシンが関与することを確認しており,今後中枢、末梢両組織を用いEDLFの産生・分泌機構の解明を行う予定である.
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