研究課題
胎生期の母体環境が出生後の生存や後世の遺伝子発現に及ぼす影響を探索することを目的に、ヒトを対象とした収集試料の分析と、マウスを用いた重金属の曝露実験を実施した。インドネシア・スンバ人の経産婦(F0)を対象に出産歴を収集し、母体環境要因として親(F0)と子(F1)それぞれの出生順位、経産回数、マラリア有病歴を記録し、次世代の子(F2)の生死と出産に関する三世代コホート調査をおこなった。経産による影響がみられる遺伝子の同定ならびに遺伝子発現レベルを定量的に分析するには至らなかったが、縦断的なデータを蓄積することができた。後世の遺伝子発現調節に影響する胎生期の時期特異性について検証するため、亜ヒ酸ナトリウム100 ppmの飲料水を妊娠マウスに与えて有害金属の無機ヒ素に曝露させ、曝露時期を胎生期と授乳期に群分けして、動物実験をおこなった。胎生期の無機ヒ素曝露により血漿中または肝臓中のトリグリセリドが低下し、曝露中止後の成熟期に雌仔のみ無機ヒ素曝露群で低体重となる報告に基づいて、無機ヒ素曝露マウスを作製した。その結果、妊娠期に比して授乳期は飲水量が増大し、仔数が多いほど母獣の飲水量が多いことが実証された。母獣への無機ヒ素曝露量が胎生期より授乳期の方が高いにも関わらず、胎生期に特異的な遺伝子発現変動がみられることは、胎生初期の感受性の高さを示唆すると考えられた。今後はこのマウスモデルにおけるF2世代の影響を検証していく必要がある。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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