研究課題
TGF-ss1結合蛋白質LTBP-1には亜型のLTBP-1L(long)とLTBP-1S(short)があり,私たちは癌で高発現しているLTBP-1Lに着目して継続的に解析を進めてきた。本研究では、LTBP-1LとLTBP-1Sを蛋白質発現レベルで区別して、癌との関係を明らかにすることを目的とし、昨年度までに、ラットを用いた独自の方法により、LTBP-1SおよびLTBP-1Lを特異的に認識する抗体の作製を行った。今年度は、同抗体と市販の非特異的LTBP-1抗体を用いて大腸がん胃がんの臨床症例組織で同蛋白の発現を試みた。Western blotting法では、LTBP-1S蛋白が特異的に検出され、LTBP-1L蛋白は検出されなかった。LTBP-1Sのシグナルは、市販の抗LTBP-1抗体と比較すると弱かった。これは、ELISA法で確認した抗体価が低かったためと考えられた。臨床検体組織における免疫組織染色法では、市販の抗LTBP-1抗体のみで同蛋白が検出された。また、昨年度までに作製した胃癌培養細胞株NUGC3のLTBP-1L、LTBP-1Sそれぞれの安定発現株を用いて機能解析を行った。発現株によって細胞増殖能、細胞遊走、浸潤能に違いが見られたが、顕著な変化は見られなかった。今後、胃癌細胞株の種類を追加して機能解析を進めるとともに、臨床検体を使用してリアルタイムPCRによる正常部と癌部での発現解析も進める必要がある。
2: おおむね順調に進展している
計画通り、研究を遂行できたため。
今年度までに作製した多臓器の癌での発現細胞株を使用して、引き続き機能解析を行う。来年度は癌種による違いや共通点、および本研究の目的であるLTBP-1LとLITBP-1Sの機能の違いに関する結果を総合的にまとめる。
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Molecular Cancer Therapeutics
巻: (in press)
Jpn.J.Hyg.
巻: Vol.67 ページ: 287
巻: Vol.67 ページ: 306