研究課題/領域番号 |
22790544
|
研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
高嶋 直敬 滋賀医科大学, 生活習慣病予防センター, 特任助教 (80435883)
|
キーワード | 予防医学 / 循環器・高血圧 / 社会医学 / 分子疫学 |
研究概要 |
NPPBは脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)をコードする遺伝子であり、BNPは左心機能の有用なマーカーである。またBNPは体液利用の調整等を通じて心保護作用があることがこれまでに報告されている。昨年度に、統合したタイピング済み遺伝型データと、ベースラインデータを用いて、natriuretic peptide precursor type B(NPPB)の上流域の一塩基変異(SNP)と、血中BNP濃度、Sokolow-Lyonクライテリアに従って定義されたECG-LVHとの関連について解析をおこなった。昨年度の引き続き、調整因子等を含めさらに詳細に検討したが、NPPBのSNPとECG-LVHとの間には有意な関連を認めなかった。さらにBNPの遺伝子変異と将来の疾患発症や死亡との関連についての検討と本年度は検討を行った。追跡データとベースラインデータを統合したデータセットを作成し、総死亡と関連について粗解析を行った。Cox比例ハザードを用いて性別・年齢を調整したモデルではBNPの遺伝型によって総死亡のリスクに差を認めたがこの差は統計学的には有意ではなかった。さらに性別、年齢に加えて対数変換した血中BNP濃度を調整したモデルを用いて検討したが、BNP遺伝型による総死亡のHRは統計学的に有意な差を認めなかった。この結果は、粗解析の結果でありさらに詳細な検討が必要であるが、BNP濃度がNPPBの遺伝型によって高値の群でも、ECG-LVHの頻度や総死亡のリスクに影響を与えないことを示唆するものである。さらにNPPBのSNPと疾患特異的な死亡や発症との関連についての検討や、ベースライン時の血中BNP濃度と生命予後との関係をNPPBのSNPがどのように修飾するかについての検討が必要である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね予定通り順調に解析を行っている。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度はNPPBの遺伝子多型と疾患特異的な死亡、循環器疾患発症との関連についての引き続き詳細な解析を行うとともに、ベースライン時の血中BNP濃度と生命予後との関係をNPPBのSNPがどのように修飾するかについての検討を行い、論文化を進める。また本年度は解析用機材の故障により年次計画には影響を及ぼさなかったものの四半期ごとの予定からは遅延が生じた。次年度以降は解析用機器の多重化等によってデータ保護を行い、早期の論文化を行う。
|