研究概要 |
喫煙者の尿中酸化ストレス値は,非喫煙者と比較すると高値であるという報告がある。そこで申請者は,たばこの銘柄の差異を凌駕するようなたばこ煙中の化学物質,特に揮発性有機化合物(VOC)をはじめとするガス成分が,喫煙者の酸化ストレス量に関与するのではないかとの作業仮説を立てた。そこで今年度は,喫煙者を対象としてBio-VOCサンプラーを用いて終末呼気を加熱脱着管に捕集し,加熱脱着装置付ガスクロマトグラフィー質量分析計でVOCの測定を行なった。喫煙直後にサンプリングを行ない,GC-MSに供したところVOC類の検出が認められた。現在,適正な呼気のサンプリング方法を評価している。次に,酸化ストレスマーカーであるF2-isoprostane類の測定法の検討を行なった。測定対象物質は,8-iso-prostaglandin F2α(iPF2α-III)と5-iso-prostaglandin F2α-VI(5-iPF2α-VI)を用いた。被験試料の抽出にはOASIS MCX、DSC18と球状C18担体を充填した自製カラムを用いた。その結果,固相カラムのうち球状C18を充填した自製カラムとアンモニア/メタノール溶液の組み合わせで、尿中共雑物質の除去とisoprostane類の精製が可能であることが分かった。
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