研究課題
本研究では、携帯型磁気センサとモーションキャプチャを用いて、高磁界が発生している磁気共鳴画像装置(MR装置)付近で働くMR検査作業者のばく露磁場の実態調査と、作業動作に由来する神経刺激リスク評価を目的とするものである。今年度は、カメラシステムの構築を行った。原則禁忌の金属体の持ち込みに対応するため、カメラ以外に必要となる固定台や架台、キャリブレーションポールを非磁性化し、最終的にカメラ以外に金属を使用しないカメラシステムを構築した。次に、このシステムを3テスラMR装置を保有する協力研究機関に設置した。検査室の形状から、装置右側と検査室入口にカメラを設置したため、装置左側の撮像域で被験者に動作を依頼した。携帯型磁界センサを、頭部、胸部、腹部固定できる実験衣を作成し、センサとカメラのスタートを同期させる外部スイッチを作成し、カメラシステムと磁界の同時計測が可能となった。被験者に実験衣を着用してもらい、患者が脇にいると仮定し、一般的な頭部検査に必要となる手技を依頼した。含まれる動作は、患者の誘導、寝台への臥床、コイルの設置と固定、耳栓の受け渡し、安全確認、寝台送り込みであった。この時の頭部、胸部、腹部の最大磁界強度は、頭部:368.37-661.02mT(平均±S.D.:499.54±148.66)、胸部:222.15-252.01lmT(平均±S.D.:235.22±15.28)、腹部:128.31-187.85mT(平均±S.D.:160.88±30.16)であり、体幹部の磁界ばく露は低く変動幅も少ないが、頭部については磁界ばく露も高く、変動幅が大きいことが実証された。2012年2月に、国際非電離放射線防護委員会より、MR検査従事者が対象となる静磁界中での動作を伴う場合のガイドラインの草案が提出されたが、草案の根拠に頭部ばく露があったが、本研究はそれを支持するものであった。
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日本磁気共鳴医学会雑誌
巻: 31(3) ページ: 151-166