受動喫煙と血圧の関連を検討するため、岩手県花巻市大迫町における一般住民のうち、35歳以上で、降圧薬治療歴のない生涯非喫煙者の女性474名を対象として、平均家庭血圧値(収縮期血圧、拡張期血圧、脈拍数)を比較した。家庭・職場などにおける受動喫煙の有無により、対象者を受動喫煙なし、あり(職場など)、あり(家)、あり(家及び職場など)の4群に分類し、群間の血圧値を比較した。また、対象者を受動喫煙なし、受動喫煙あり(時々)、受動喫煙あり(毎日)の頻度による3群に分類して同様の解析を行った。血圧値は共分散分析(ANCOVA)により解析した。 受動喫煙あり(家及び職場など)群の朝の家庭収縮期血圧値(±SE)は116.8±1.01mmHg、受動喫煙あり(家)群の朝の家庭収縮期血圧値は116.2±1.07mmHgであり、受動喫煙なし群(113.1±1.08mmHg)と比較し、いずれも有意に高値であった(それぞれP=0.02、P=0.04)。また、受動喫煙あり(家及び職場など)群の晩の家庭収縮期血圧値(115.3±1.02mmHg)も、受動喫煙なし群(111.9±1.09mmHg)と比較して有意に高値であった(P=0.03)。受動喫煙あり(職場など)群の家庭収縮期血圧も、有意ではないが、受動喫煙なし詳と比較して高い傾向にあった。また、対象者を頻度によって分類して行った解析でも、受動喫煙なし群(朝113.0±1.08mmHg、晩111.9±1.08mmHg)に対し、受動喫煙あり(毎日)群で、朝116.7±0.95mmHg、晩115.2±0.96mmHgと、いずれも有意に高値であった(それぞれP=0.02、P=0.03)。受動喫煙あり(時々)群でも、有意ではないが、受動喫煙なし群より高い傾向にあった。なお、いずれの解析においても、拡張期血圧、心拍数には有意な差は認められなかった。
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