平成22年度の住民健診受診者は615名であり、全例早朝空腹時に腹囲、安静坐位血圧値、空腹時血糖値、総コレステロール値、中性脂肪値、HDLコレステロール値、高感度CRP(hsCRP)値を測定した。問診により、現在治療中の疾患や内服薬の詳細を調査した。平成22年度の断面調査の結果より、メタボリックシンドローム(MetS)に該当する者は男性26.1%(69/264)、女性12.5%(44/351)であった。狭心症・心筋梗塞や脳卒中の既往のある心血管疾患(CVD)既往者は21名(3.4%)であった。615名の健診受診者からhsCRP≧0.5mg/dl以上の者を除外した592名を解析対象とした。対象をMetSの有無で2群に分け、さらに男女別のhsCRPの中央値で高hsCRP群と低hsCRP群の2群に分けた。MetS(-)低hsCRP群、MetS(+)低hsCRP群、MetS(-)高hsCRP群、MetS(+)高hsCRP群の4群に分けて、CVD既往の有無を従属変数としたロジスティック回帰分析を用いて解析を行った。年齢、性別、喫煙、高血圧・糖尿病・脂質異常症の治療の有無で調整し、MetS(-)低hsCRP群を1としたオッズ比は、MetS(-)高CRP群で2.03(95%CI:0.49-8.36)、MetS(+)低hsCRP群で4.21(95%CI:0.60-29.53)、MetS(+)高hsCRP群で9.24(95%CI:2.17-39.41)であり、MetSに該当してhsCRPも高値である群がCVD既往との関連が最も強いという結果であった。よってMetsに該当し高感度CRPが高値の群はよりCVD既往者リスクが高い者として、健診・保健指導の場においても優先的に生活習慣への介入を行う必要がある可能性が考えられた。今回は断面調査の結果であるが、今後は前向きの追跡結果も検討する予定である。
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