研究課題
平成23年度の住民健診受診者は617名であり、前例早朝空腹時に腹囲、安静坐位血圧値、空腹時血糖値、総コレステロール値、中性脂肪値、HDLコレステロール値、高感度CRP値、脳性利尿ナトリウムペプチド(BNP)値を測定、問診により現在治療中の疾患や内服薬の詳細の調査を行い、データベース化した。2008年に受診した638名中、酸化ストレスマーカーである尿中8-Hydroxydeoxyguanosine (OHdG)を測定し得た369名(男性159名、平均年齢63.6±14.1歳、女性210名、平均年齢64.1±12.5歳)を解析対象とした。メタボリックシンドローム(MetS)の頻度は、男性で13.2%、女性で12.9%であった。尿中8-OHdG値は男女間で有意差を認めていた(男性:8.7±3.7ng/mg・Cr、女性:10.6±4.0ng/mg/Cr)。2011年12月まで追跡したところ、平均追跡期間が3.0±0-4年で、死亡が11名、転出が4名であった。初年度のデータに基づきメタボリックシンドローム(MetS)の有無で2群に分け、Kaplan-Meier法による累積生存率を比較したが、有意な差は認められなかった。OHdGの中央値(男性:8.3ng/mg・Cr、女性:10.2ng/mg・Cr)で2群に分けて、Kaplan-Meier法による累積生存率を比較すると、高8-OHdG群において有意に生存率が低下する結果であった(Log rank test : p=0.030)。MetS判定と8-OHdGの高低に基づいて、MetS(-)低OHdG群、MetS(-)高OHdG群、MetS(+)低OHdG群、MetS(+)高OHdG群の4群に分類し、Kaplan-Meier法による総死亡に対する累積生存率を比較したが、統計学的な有意差は認められなかった。追跡期間が短く、イベント発生も少ないため、現時点ではMetSの死亡に対するリスクを見いだすことはできなかった。しかし、酸化ストレスマーカーである尿中8-OHdG高値の群においては、死亡に対するリスクが高かったことから、将来のイベント予測マーカーとして利用できる可能性が考えられた。今後もさらに長期にわたって追跡を行い、MetSと8-OHdGの組み合わせにより、心血管疾患ハイリスクのMetSの抽出が可能となるかを検討していく予定である。
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Journal of Human Hypertension
10.1038/jhh.2011.23
日本老年医学会雑誌
巻: 48 ページ: 437-439