研究概要 |
研究課題 1、血圧モーニングサージ(MBPS)の日間・季節間再現性 2、MBPSと室温以外の要因の関連 3、外気温および室温とMBPSとの関連の比較 4、室温とMBPSの関連と換算式の提案 5、入浴と夜間血圧の関連 方法 60才以上の男女192名に対し、2日間の30分間隔の自由行動下血圧測定と室温の同時測定を春・秋(9~10月,4~6月)と冬(11~3月)の2回実施し、MBPS(起床後2時間の平均収縮期血圧と夜間最低収縮期血圧値を中心とした前後1時間平均値の差)を算出した。 結果 1、MBPSの日間再現性は中等度(春・秋:r=0.36、冬:0.37)で、季節間再現性も中等度(r=0.40)であった。季節間の早朝(起床後2時間)外気温差は13.6℃(17.1 vs.3.4)、室温差は6.3℃(20.4 vs.14.1)で、MBPSは冬に4.9mmHg(95%信頼区間:2.8 to 7.3)高かった。2、室温以外では、年齢、血圧測定時の身体活動量(アクチグラフにより測定)に有意な正の関連、教育歴で負の関連を認めた。3、低い外気温下(-3.4℃~9.7℃)では室温-外気温の相関は低下していた(r=0.28)。回帰モデルの当てはまりは、外気温を用いた回帰式より室温を用いた回帰式の方が、AIC(赤池情報量規準)が低く優れていた。 4、多変量混合線形回帰分析で居間の温度が10℃低いとMBPSが4.6mmHg高い独立した関連が見られ、室温調整値への換算式としての応用できる。先行研究ではMBPS 1mmHg上昇によって総死亡のリスクのおよそ1%上昇することから、室温がMBPSにおよぼす影響は無視できないことが分かる。室温低下を防止することによって、冬季死亡率上昇を予防する可能性を示唆する重要な知見が得られた。5、入浴した日の夜間収縮期血圧は、入浴なしの日と比べて有意に3.84mmHg低かった。
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