研究概要 |
PFOS, PFOA, PFDA, PFHS, PFNAのような有機フッ素化合物(PFCs)は、撥水の性質を利用して衣類、建材、界面活性剤などに使用されている。難分解性・高残留性物質であることから人体への蓄積・健康影響が懸念されている。ストックホルム条約の第4回締約国会議(2009年)で制限物質としてPFOSとPFOSFが新たに追加され、地球規模で問題となっている。これを受け、日本でも2010年PFOSとPFOSFが原則輸入・使用禁止となった。しかし、一般環境レベルのPFCs胎児期曝露による出生時体格の影響についての報告は少ない。また、規制の対象外であるPFOS/PFOA以外のPFCsについても動物実験では毒性が報告されてきていることから児の発育について検討する必要がある。そこで、大規模コホート(北海道全域)でPFCs (PFOS/PFOA/PFNA/PFDA)の胎児期曝露による児の体格への影響について検討することを目的とした。本年は、LC/MS/MSを用いて先行研究を基にPFCsの測定方法の改良・確立を行った。その結果、検出限界はPFOS/PFOA/PFNA/PFDA/=0.5/0.5/0.5/0.1であり先行研究と比較しても同様の値であり、血漿中PFCsの検出方法が確立された。また、標準物質を用いてPFOS/PFOA 0.1ng/ml- 5ng/mlの検量線を作成したところR^2=0.9998の直線性が求められた。2003年~2005年に参加登録した妊婦4908名のうち411名の児(8.37%)がSGA(Small-for-gestational-age)であった。今後は、有機フッ素化合物濃度と出生時体格(身長・体重、胸囲、頭囲)の関連を明らかにする。
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