研究課題
昨年度、自己免疫性精巣炎(Experimental autoimmune orchitis : EAO)の原因抗原となる可能性がある18の遺伝子から5つのタンパク質の誘導に成功した。得られたタンパク質は全て不溶性タンパク質であった。そのため、当初の計画ではGSTビーズにより、目的タンパク質のみを精製したものをマウスに感作し、EAOの誘導を試みる予定であったが、精製を行わずに感作し、炎症の誘導の有無を比較検討することにした。誘導したタンパク質5種類をEAOに感受性が高いA/Jマウスに免疫し、自己免疫性精子形成障害が誘導されるかどうか検討した。タンパク質5種類の容量をそれぞれ10μg、20μg、50μgとし、complete freund's adjuvant(フロイト完全アジュバント)とBordetella pertussis(百日咳死菌)を混合して2週間間隔で2回皮下注射し、EAO誘導を試みたが、発症は軽度であった。そこで5種類のタンパク質を同時に同じマウスに皮下注射することを試みたが、EAOの発症は軽度だった。現在、容量と投与回数を変えて、どのタンパク質がEAOを強く誘導するかどうかを検討中である。また、18ある候補遺伝子の中で、まだ発現が得られていない13の遺伝子は、GST融合たんぱく質用発現ベクターをpGEX-2Tとし、大腸菌を用いてタンパク質の誘導を試みたが、十分な誘導が困難であった。そこで現在、動物細胞を用いて条件検討、ベクターの変更など行い、目的タンパク質の誘導を試みている。一昨年度、EAO初期の病理像を明らかにして発表したが、今年度、EAO終末期の病理像を観察し、Medical Molecular Morphology誌に研究成果を報告した。この結果は、EAOの病態を更に解明し、避妊ワクチンの開発に繋がるものである。
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Medical Molecular Morphology
巻: (In press)
The journal of reproduction and development
巻: 57 ページ: 296-302
Journal of Reproductive Immunology
巻: 90 ページ: 195-201
Reproduction, Fertility and Development
巻: 87 ページ: 45-51
http://www.tokyo-med.ac.jp/anatomy/index.html