研究課題/領域番号 |
22790587
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研究機関 | 大阪府立公衆衛生研究所 |
研究代表者 |
青山 幾子 大阪府立公衆衛生研究所, 感染症部, 主任研究員 (90332452)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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キーワード | RT-LAMP / 感染症 / ウイルス |
研究概要 |
アルボウイルス感染症により、毎年海外で多数の感染者や死者が報告されており、わが国に入ってくる感染症も多様化している。これら感染症に対する検査法の確立は急務であり、本研究課題ではアルボウイルスの鑑別を、従来法よりも、より簡便で短時間に行う方法の開発を目的とする。本研究の対象として蚊媒介性疾患のフラビウイルスとアルファウイルス感染症をモデルとし、RT-LAMP(real-time reverse transcription-loop-mediated isothermal amplification assay)法もしくはGENECUBE法を用いた網羅的検索法を構築する。本法により、アウトブレイク時に検体が急増しても迅速に対応することが可能となり、ベクターサーベイランスなど多検体のスクリーニングも簡便に実施できる。さらに、網羅的検索により未知のウイルスを検出することも可能となる。 平成24年度は、RT-LAMP法用に作成したプライマーの感度が従来の遺伝子増幅法に比べ低かったため、RT-LAMP法と同様に短時間で反応ができ、かつ全自動で遺伝子解析が可能なGENECUBE Qprobe法を用いて、アルボウイルスの迅速診断法の開発を進めた。日本脳炎ウイルス、デングウイルス、ウエストナイルウイルスについて作成した検出系は、検出感度が現行のRT-PCR法やrealtimePCR法と同等もしくはそれ以上であり、作業が簡便かつ迅速であることから、非常に有用な検出法だと考えられた。今後、さらに網羅的検索ができるようプライマーを設計し、目的に応じて適した検査法を選択できるよう迅速診断法を確立する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
GENECUBE法用に作成した特異的プライマーは高感度で反応性がよく、現在臨床検体について検討中で概ね良い成績であるが、共通プライマーについてはまだ反応性が確かめられておらず、今後の検討課題となっている。
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今後の研究の推進方策 |
RT-LAMP法のプライマー感度が低いため、主としてGENECUBE法による検出法の開発に取り組んでいる。全自動遺伝子解析装置GENECUBEは、検体の遺伝子抽出から核酸増幅、検出、判定までが1時間半程度で終了するため、RT-LAMPよりもさらに迅速性が高いと考えられ、また本機械は一検体に対し、多項目のウイルス検索が同時に実施でき、少ない検体から多項目を検査することの多い地方衛生研究所においてかなり汎用性があると考えられる。本年度はアルボウイルス検出に関して、GENECUBE法用の検出系を検討し、高感度の検出法を得た。この実験診断法が確立すると、より効率的で高性能な診断法が導入でき、より迅速な感染症対策に寄与できることが期待される。
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