研究課題/領域番号 |
22790595
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
井上 裕匡 三重大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (50363338)
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キーワード | 急性肺傷害 / 肺脂肪塞栓 / 高温暴露 / 遺伝子発現 / 免疫染色 |
研究概要 |
急性肺傷害(ALI)は、様々な原因により生じるが、その程度から死者の死亡前の状態が推測される可能性が考えられ、死因および死亡の原因の判断に有用であるその指標として用いる対象物を検索すべく、今年度の研究では、ALIの原因となりうる複数の原因が混在したとき、その傷害の程度は相加的ではなく、相乗的に作用するとの仮説を立て、動物実験を行った。10週齢雄ラットに、いずれALIの原因となりうる1)高温暴露、2)オレイン酸静注(肺脂肪塞栓)を、単独もしくは連続して負荷し、1時間経過後の肺病理組織学的検索および肺における炎症性サイトカインであるインターロイキン(IL)-1β、IL-6、組織壊死因子(TNF)-αや血管内皮細胞増殖因子(VEGF)-A、形質変換促進因子(TGF)-β1、マクロファージ炎症蛋白(MIP)-2,顆粒球単球コロニー刺激因子(GM-CSF)、ヒートショック蛋白(HSP)70の各mRNA定量を行った。その結果、病理組織学的にはオレイン酸静注でALIの状態となっていることが確認され、IL-1β、IL-6、TNF-α、MIP-2、GM-CSFの各mRNAはオレイン酸静注で有意に発現量が増加した。一方、高温暴露単独では明らかな病理組織学的変化は見られなかったが、HSP70、VEGF-A、TGF-β1の各mRNA発現量は高温暴露で有意に増加した。これら2つの要因が重なった状態で、炎症性サイトカインであるIL-1βmRNAは相乗的に増加し、IL-6も同様の傾向が見られた。通常の病理組織検索では著変が見られない場合であっても、これらの遺伝子発現定量や免疫組織化学的検索を行うことによってALIの程度を評価でき、法医診断の精度向上に寄与するものと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年11月に投稿した論文が全く査読から戻ってこないので、実験を進行できていないが、戻し次第遅れを取り戻すべく実験再開の準備を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
実際の法医解剖症例で得られた肺組織において、動物実験結果より得られた各mRNAに対応する蛋白について免疫染色を行い、法医実務応用に繋げていく予定である。.
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