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2011 年度 実績報告書

ストレスによる神経・内分泌・免疫系の変化に基づく虐待の診断及び期間推定法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 22790599
研究機関鹿児島大学

研究代表者

林 敬人  鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 講師 (40512497)

キーワード社会医学 / 児童虐待 / 長期拘束ストレス / 視床下部-下垂体-副腎皮質系 / 糖質コルチコイド / 副腎内コレステロール / 副腎髄質系 / 法医病理学的診断
研究概要

副腎内分泌系の変化に着目した新たな虐待の法医病理学的証明法及び虐待期間推定法の開発を目的として,動物実験及び実際の剖検例を用いた検討を行った。まず,心理的虐待モデルとして長期拘束ストレスマウス(拘束期間1日~4週間)を用い,ストレスによる副腎内分泌系の変化を検討したところ,3週間までの拘束ストレスでは副腎皮質系の反応(視床下部-下垂体-副腎皮質)によって,副腎が肥大し,血清ACTH・糖質コルチコイド(corticosterone, cortisol)は上昇し,糖質コルチコイドの材料である副腎内コレステロールは減少した。また,副腎内へのコレステロール供給に関与するScavenger receptor class B, type I (SR-BI), HMGCoA reductase, Hormone sensitive lipase各遺伝子の副腎における発現は増加していた。一方,2週間までの拘束ストレスでは,副腎髄質系の反応(視床下部-交感神経-副腎髄質)によって,副腎におけるchromogranin A (CgA)遺伝子発現が増加していた。以上の動物実験の結果から,副腎内分泌系の変動を検索することは,ストレス暴露の証明と拘束期間推定のための指標となり得ることが示唆された。そこで次に,実際に小児の虐待死剖検例12例(入院後に死亡した例を除く)を試料として検討したところ,虐待期間が数週間から2ヶ月の比較的短期間の例では,動物実験の結果と同様に,虐待ストレスに対応して糖質コルチコイドを過剰分泌するために副腎が肥大し,副腎内コレステロールが減少し,副腎皮質のSR-BI発現が増加していた。一方,虐待期間が数ヶ月以上の例では,副腎髄質におけるCgA発現が減少していた。以上の結果から,糖質内分泌系の変化は虐待の法医病理学的証明並びに虐待期間推定のための指標の一つとなり得るものと考える。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2011 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Thymus and adrenal glands in elder abuse2011

    • 著者名/発表者名
      HAYASHI, Takahito
    • 雑誌名

      The American Journal of Forensic Medicine and Pathology

      巻: 32 ページ: 368-371

    • 査読あり
  • [学会発表] Child abuse induces changes in the hypothalamic-pituitaryadrenal (HPA) axis2011

    • 著者名/発表者名
      HAYASHI, Takahito
    • 学会等名
      8th International Symposium Advances in Legal Medicine (8th ISALM)
    • 発表場所
      フランクフルト(ドイツ)
    • 年月日
      2011-09-27
  • [学会発表] 副腎糖質コルチコイド系の変化に基づく虐待の法医病理学的証明と虐待期間推定2011

    • 著者名/発表者名
      林敬人
    • 学会等名
      第95次日本法医学会学術全国集会
    • 発表場所
      コラッセふくしま(福島県)
    • 年月日
      2011-06-16
  • [備考]

    • URL

      http://www.kufm.kagoshima-u.ac.jp/~legalmed/

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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