乳幼児突然死症候群(Sudden Infant Death Syndrome : SIDS)は乳幼児死亡の大きな原因のひとつであるが、その原因はいまだ不明である。睡眠中に発症することが多いことから、睡眠中の循環呼吸調節にかかわる中枢の発達遅延があるのではないかと指摘されている。質量顕微鏡によるミエリン塩基性蛋白(myelin basic protein : MBP)等の髄鞘構成蛋白の組織片直接解析法を確立し、定量的に解析することによって、SIDSの診断マーカーとしての可能性の可否について検討することが本研究の目的であった。パラフィン包埋切片は保存が簡便であり症例が蓄積されているため、もっとも適していると考えられたが、質量顕微鏡でのMBP測定は困難であることがわかった。凍結切片では可能であるが、今後の検討のためには対象試料数のさらなる蓄積が必要である。
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