研究概要 |
過敏性腸症候群の患者および健常者に対して、より臨床の現場に準じた新たなストレス負荷試験を作成し、その時の脳機能を、functional MRIにて評価するとともに、大腸運動機能評価(大腸バロスタット検査)も同期的に行うことで、脳腸相関(Brain-Gut interaction)をより科学的に明らかな病態として解明することを目的として研究を実行した。本年度はストレス負荷プログラム及び付随システムの構築と、健常者および患者について、検査を施行した。ストレス負荷課題ストレス負荷課題として、過敏性腸症候群特異的陰性情動刺激を考案し、独自に負荷刺激の作成に取り組み成功。fMRI装置と、バロスタット装置の同期を確立するためバロスタット装置の改造を行い、東北大学病院MRI検査室のfunctionalMRIで確立された。MRI設備に画像負荷システム、バロスタットシステム、心電図、皮膚電気抵抗システムが、常時設置。ストレス負荷課題として、過敏性腸症候群特異的陰性情動刺激を考案し機能性MRIのタスクとして特殊なソフトを使用し作成に成功した。健常者、過敏性腸症候群患者に対して、ストレス負荷を施行。健常者では情動の変化は認められず、過敏性腸症候群患者では情動の変化を認め、腹痛、便意の症状が増悪した。本画像刺激が、過敏性腸症候群特異的陰性情動尺度であることが実証された。また多様な脳構造画像の撮像も終了し解析を行った。Voxel Based Morphometry解析では、健常者よりも過敏性腸症候群患者で前運動野・補足運動野が有意に賦活していた。さらに、Diffusion Tensor Imaging解析では、健常者よりも過敏性腸症候群患者で、[38,-46,-2:MNI]において有意に繊維束の増強が認められた。また過敏性腸症候群患者よりも健常者で繊維束の有意な増強部位は認めなかった。
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