研究課題
枯渇したインスリン分泌を補うための手段として膵島移植が試みられているが、種々の要因により移植膵島は経時的に減少する。そのため、インスリン離脱率も減少する。膵島障害を抑制するために移植膵島の移植後の状態を知る必要がある。本研究においては、Optical Projection Tomgraphy (OPT)を用いて移植膵島を膵島レベルで観察・解析するための技術開発を行っている。前年度において、マウス肝臓内に移植した膵島細胞の観察に成功しているため、今年度は、同種同系および同種異系移植での移植膵島の形態観察・評価を行った。同種同系:C57BL/6(Recipient)-C57BL/6(Donor),同種異系:C57BL/6(Recipient)-Balb/c(Donor)の組み合わせで膵島移植を行い評価した。その際糖尿病モデルマウスとしてストレプトゾトシン投与マウスを用いた。高血糖状態のモデルマウスに膵島を300個移植し、血糖値測定を行い、血糖値に明らかな差異見られた検体について移植膵島の数および量の検討を行った。移植7日後より同種異系群において血糖値の顕著な上昇がみられたため、十分に血糖値が上昇した移植11日後に肝臓を取り出し、OPTを用いて移植膵島の観察を行った。その結果、同種同系移植では、202±19個、同種異系では48±11個と顕著に同種異系移植において膵島の減少が見られた。また、各移植膵島の大きさを評価した結果、大きさの分布は同種、異種ともに同じような分布となった。移植膵島の総量は、同種同系移植では、35.3±6.9μm^3×10^6同種異系では8.5±1.8μm^3×10^6と個数と同様に顕著な差が観察された。以上のことから、OPTを用いるいことで、肝臓内の移植膵島を膵島レベルで評価することが可能であり、肝臓内での移植膵島の分布だけでなく、数、量を定量的に評価することが可能な系を構築することができた。
すべて 2011
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Transplant International
巻: 24 ページ: 839-844
10.1111/j.1432-2277.2011.01271.x