研究概要 |
目的:進行がん患者を対象に,がんに関連する倦怠感についての教育的介入を実施し,コーピングスキル,遂行機能,QOLへの効果を検討した。 方法:がん専門病院の緩和ケア病棟に入院している進行がん患者52名(男性24名,女性28名)を介入群(26名)と対照群(26名)に無作為に割り付けて実施した結果,46名が全てのプログラムと評価を完遂した.介入プログラムは,倦怠感に関するセルフマネジメント技術の習得と,それを取り入れたセルフケアの遂行を主題とし,教育的手法で行った.主要評価項目は,コーピングスキル,遂行機能,QOLとした.研究実施施設の研究倫理審査委員会の承認と対象者の同意を得て実施した. 結果:全てのプログラムと評価を完遂できなかった対象者6名の理由の内訳は,自宅退院1名,長期自宅外泊2名,転院1名,症状の進行による中断2名であった.介入プログラム実施時間中の退室,辞退はなかった.介入プログラムの実施前後の各評価項目を検討した結果,コーピングスキルと倦怠感は群間に有意な差がみられた.また,介入群においてのみ,コーピングスキル,倦怠感,気分状態の有意な改善が示された.しかし,遂行機能とQOLに有意な差はみられなかった. 結語:進行がん患者に対してがんに関連する倦怠感についての教育的介入を実施した結果,コーピングスキル,倦怠感,気分状態の短期的効果が示された.また,プログラムへの参加による心身の負担を十分に考慮することで,進行がん患者を対象に実施することが可能であることが示された.
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