心房細動の発生・維持の機序として、心房細動の持続に伴う心房の電気生理学的変化(電気的リモデリング)や心房の線維化などの構造的変化(構造的リモデリング)が重要な役割を果たしていることが報告されている一方で、自律神経の関与も示唆されている。しかしながら、心房細動における交感神経や副交感神経の神経量の変化や形態・機能変化に関してはいまだ不明な点が多く、またそれらが心房細動の発生・維持にどのように関与するかは明らかにされていない。本研究では、イヌ孤発性心房細動モデルを用いて、心房細動の細動基質としての自律神経の変化とそれに対する薬理学的修飾としてのα・β遮断薬の効果を検討した。 心房高頻度刺激の持続に伴い、心房の電気的リモデリングおよび心房細動誘発性は増加した。抗neurofirament抗体を用いてイヌ心房の自律神経線維を免疫染色では、心房高頻度刺激の持続に伴い、心房内の自律神経線維、特に交感神経線維が増加していることが示された。α・β遮断薬であるカルベジロールを前投与したところ、カルベジロールは心房の電気的リモデリングおよび心房細動誘発性を抑制した。
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