研究課題
本年度は、MSX2強制発現細胞株並びにMSX2ノックダウン細胞株における膵癌幹細胞機能の変化を確認し、miRNAアレイによるmiRNA発現プロファイルの網羅的解析を施行して膵癌幹細胞機能に関与するmiRNA候補を抽出した。抽出されたmiRNAのprecursorを用いて膵癌細胞株における再発現実験を行い、その機能を解析した。1. MSX2強制発現細胞株においては癌幹細胞にて発現が増加しているトランスポーター遺伝子、ABCG2の発現上昇がみられ、対照的にノックダウン細胞株ではその発現が低下していた。MSX2はABCG2の発現を転写レベルで制御しており、転写因子であるSP1と機能的に共調していることが判明した。これらの変化は各細胞株における癌幹細胞分画、SP細胞の多寡と関連しており、癌幹細胞機能を変化させた細胞モデルとして妥当であると考えられた。2. MSX2強制発現細胞株において有意な発現低下がみられるmiRNAとしてmiR-126およびmiR-449aが同定された。Taqman assayを用いて各細胞株における発現レベルを比較したところ、MSX2強制発現細胞株においては発現が抑制されており、ノックダウン細胞株では発現が増加していることが確認された。3. これらのmiRNAと癌幹細胞機能の一つである転移・浸潤能との関連を検討するため、ヒト膵癌細胞株Panc-1においてmiR-126 precursorをトランスフェクションし、上皮系マーカー・間葉系マーカーの発現レベルと細胞遊走能・浸潤能の変化を検討した。miR-126の強制発現により上皮系マーカーの発現上昇と間葉系マーカーの発現低下が確認され、細胞遊走・浸潤の抑制がみられた。
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Cancer Sci.
巻: 102(1) ページ: 150-156
巻: 102(1) ページ: 157-161