研究課題
(1)ESCRT分子のHCVにおける役割を検討するために、まず、HCVが含まれるとされるエクソゾームとHrsの関連性を検討した。Hrsノックアウト樹状細胞においては、エクソゾームの放出量が抑制されており、ovalbuminによって刺激を行い、そのエクソゾームを回収したところ、OT-IトランスジェニックマウスのT細胞に対する抗原提示能も減少していた。以上のことからHrsはエクソゾーム放出に必須の分子であり、エクソゾームを介した抗原提示能にも関わっている可能性が示唆された。(BBRC,2010)(2)HrsノックダウンHuh7細胞にHCV株JFH1を感染させると、上清中に放出されるHCV-RNAは有意に減少した。細胞内HCV-RNAやコアタンパク発現量には変化がなかったが、細胞内の感染性HCV粒子はHrsノックダウン細胞において減少していた。以上のことから、HrsはHCVアセンブリに関与している可能性が示唆された。(3)HCV感染細胞の上清を精製し、ショ糖密度勾配遠心にて分画すると、HCVコアタンパクとエクソゾームマーカーであるCD63はほぼ同じ分画に存在した。共焦点顕微鏡を用いて観察すると、multivesicular bodyとHCVコアタンパクは部分的に共局在しており、免疫電顕をおこなうと、HCVコアタンパクおよびエンベロープタンパクはmultivesicular body内のintraluminal vesicleにも存在していた。MVB形成に必須とされるVPS4ノックダウン細胞においても、HCV放出の減少がみられた。エクソゾーム放出に必須のRab27bノックダウン細胞においても、HCV放出の減少がみられた。以上のことからHCVはHrs依存性エクソゾーム経路を利用している可能性が示唆された。(Virology,2012)
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