申請者らは、独自に開発した変異HCV培養細胞レプリコンシステムを用いて、HCV増殖制御に関連する宿主・ウイルス蛋白やIFNの抗ウイルス機構に抑制的に働く細胞内IFNシグナル関連蛋白とHCV蛋白の相互作用の解析を行い、これまでに以下の結果を得ている。1)臨床的に治療抵抗性であることが報告されているHCVコア70/91変異株を用いた培養細胞系の検討では、生体同様インターフェロン(IFN)低感受性であり、インターロイキン(IL)-6上昇、ウイルス粒子形成および分泌低下を認め、小胞体(ER)ストレス蛋白の発現誘導がみられた。2) JFH1細胞培養系を用いた検討でも、IFN低感受性株ではIL-6、SOCS(suppressor of cytokine signaling) 3の発現亢進、IFN刺激因子(ISG)抑制がみられ、IL-6抗体処理によりIFN抵抗性が解除された。 培養細胞系を用いた以上の結果より、多機能サイトカインであるIL-6はERストレスと密接に関与し治療抵抗性への関与が示唆された。
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