アンギオテンシンIIを充填したオスモティック・ミニポンプをNASHモデルラットの皮下に14日間留置して外来性にアンギオテンシンIIの持続投与を行ったが、明らかな肝線維化の増悪は認められなかった(未発表データー)ことから、NASHにおける肝線維化進展には必ずしも外因性のアンギオテンシンIIはあまり重要ではないと考えられる。このため、肝臓内部における、レニン・アンギオテンシン系の活性化メカニズムに注目し、これまでに確認された様に、ERK、PKCの活性化(未発表データー)など、AT1 receptor下流のシグナルカスケードにおけるキー因子について、現在検討を行っている。また、心筋細胞や動脈と同様に、肝臓内においても、脂肪化に伴う肝細胞の膨化などによる肝類洞、Kupffer細胞、肝星細胞の機械的刺激によるAT1 receptorの活性化が惹起されていること可能性が考えられる。このため、経時的な肝細胞の脂肪化進展過程に伴う、肝星細胞上のAT1 receptor活性化状態の変化について、さらに、正常マウスから分離・培養した肝星細胞に対し、機械的刺激を与えることによる細胞の活性化状態の変化について現在検討中である。NASHモデルマウスに対し、グルタチオン、ビタミンEなどのROS消去系の投与を行うことで、肝星細胞上のAT1 receptorの活性化状態が抑制されることを確認した(未発表データー)。現在、正常マウスから分離培養した肝星細胞に対し、ROSを混合培養し、AT1 receptorの活性化を検討中である。
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