研究概要 |
本年度はCpG DNA投与による腸炎抑制のメカニズムを解明するために、マウス腸炎モデルを用いて、CpGDNA投与による形質細胞様樹状細胞(pDC)の活性およびB細胞の分化について検討した。マウス実験腸炎としてDSS(dextran sodium sulfate)腸炎を用いた。1、C57BL/6マウスへDSS腸炎を誘導し100μgのCpG DNA(D19)を皮下注射で投与したところ、CpG非投与群と比較し腸炎抑制効果が認められ、また大腸における遺伝子発現ではTNF・αの発現が低下し、IFN-β、TGF-βの発現が増加していた。2、CpG投与群の末梢血中のサイトカイン産生を検討したところ、非投与群に比し、IL-10の産生増加が認められた。3、CpG投与マウスの脾臓、および腹腔リンパ節における遺伝子発現とサイトカイン産生を検討した。脾臓では非投与群と比し有意差を認めず、腹腔リンパ節ではCpG投与群においてTL,R9、IFN-β、TGF一β、IL-10の発現が増加していた。4、腹腔リンパ節および腸管を抗CD20抗体で免疫染色したが、CpG投与群と非投与群においてB細胞の分布に有意差は認められなかった。 以上より、CpG投与により腹腔リンパ節で制御性サイトカインの産生が認められたが、B細胞由来か否かはまだ明らかではない。今後はマウスの脾細胞からB細胞を分離して制御性B細胞の分化、誘導について検討する予定である。
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