「研究の目的」 EUS-FNAの技術を利用し膵臓癌に微量放射線源を局注することにより、従来の体外照射に比較して低侵襲で利便性の高い放射線療法と化学療法の併用の可能性を研究すること。 「研究実施計画」 当院の倫理委員会の承認を得、はじめにPhase Iとして膵臓癌患者6名にI^(125)燭を局注する。放射線源局注による出血や感染などの有害事象の発生が1/3以下であればGEHによる化学療法を同患者に対して開始する予定であった。 「研究の実施」 膵臓癌に対する放射線源は適応外使用であり、またEUSガイド下の局注手技は未だ確立された手技で無いことから、放射線源の臨床試験を行う以前に、安全性の確認のミニブタを用いた動物実験を計画した。しかし実験動物のミニブタは、韓国の口蹄疫のため輸出が制限され実験計画が予定より遅延した。その間に局注手技の確立の為、海外の報告をもとに19G針を用いてこんにゃくや肉片を対象として練習し手技を確立した。2011年2月にミニブタを入手でき、2匹に対して、膵臓、その他臓器を観察した。ミニブタの膵臓は人間と比較すると小さく、金属片の大きさを人間比で0.8倍と設定し金属片を作成し、穿刺可能な腹腔内臓器に実際に局注した。局注の手技はEUS画像およびX線にて確認しながら施行した。金属片局注前後でのミニブタの呼吸循環動態に変化は認められず、また解剖時に腹腔内に出血なども確認できなかったことから安全に施行できたと考える。 →次年度として、更に3匹のミニブタを用いた動物実験を計画しており安全性を確証する。また今回の実験も含めて書類を作成し、当院倫理委員会に提出し、臨床試験を開始する予定である。膵臓癌患者は年40人ほど診断しており、同意を得られれば順次説明していく。
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