「研究の目的」 EUS-FNAの技術を利用し膵臓癌に微量放射腺源を局注することにより、従来の体外照射に比較して低侵襲で利便性の高い放射線療法と化学療法の併用の可能性を研究すること。 「研究実施計画」 当院の倫理委員会の承認を得、はじめにPhase Iとして膵臓癌患者6名にI^<125>を局注する。放射線源局注による出血や感染などの有害事象の発生が1/3以下であればGEMによる化学療法を同患者に対して開始する予定であった。 「研究の実実」 膵臓癌に対する放射線源は適応外使用であり、またEUSガイド下の局注手技は未だ確立された手技で無いことから、放射線源の臨床試験を行う以前に、安全性確認の為のニブタを用いた動物実験を計画した。2011年2月にミニブタ2匹に対して、膵臓、その他臓器を観察した。ミニブタの膵臓は人間と比較すると小さく、金属片の大きさを人間比で0.8倍と設定し金属片を作成し、穿刺可能な腹腔内臓器(肝臓・脾臓)に実際に局注し、X腺、EUS画像にて局注を確認した。 2012年度は、更なる安全性確認として、当初ミニブタ3匹に対して追加実験予定であった。しかし東日本大震災もあり福島県のおかれる状況は不安定であった。状況が安定した2012年12月にミニブタ3匹を使用し、追加実験を行った。2011年度では膵臓は厚さ10mmほどと薄く穿刺できなかったが、今年度は手技が安定し、φ0.8mm×長さ3mmに設定した金属片を3個/匹に局注可能であった。金属片局注前後でのミニブタの呼吸循環動態に変化は認められず、また解剖時に腹腔内に出血なども確認できなかった。解剖では、8/9個(88.8%)を膵実質内に局在していることを確認できたが、1個は腹腔内に逸脱していた。 →予定年度内には予備実験までの進展であった。福島県は外部・内部被曝の問題渉あり放射線源注入実験は世論も関係するが、逆にwhole body counterなどの機器が他県より進んだ環境となり実際の被曝量測定や安全性の確認ができるようになる。今後、今回の実験も含めて書類を作成し、当院倫理委員会に提出し、臨床試験を開始する予定である。
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