メタボリックシンドロームの肝表現型である非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、なかでも非アルコール性肝炎(NASH)は肝硬変、肝癌へ進展しうる病態である。肝内での免疫応答による炎症反応がNASH病態の中心であり、肝マクロファージであるクッパー細胞や脂肪組織内マクロファージの炎症化が関与していることが推察されている。CD4^+CD25^+FoxP3^+制御性T細胞(Treg)は肝内でも強い抗炎症作用を示すことが報告され、一方でマクロファージの炎症化を抑制することも報告されている。そこで本研究は、非アルコール性脂肪性肝炎の病態進展の中心となる炎症性マクロファージ/クッパー細胞に対するTregの関与を明らかにし、NASHにおける免疫応答機序を中心とした病態の解明と新たな治療法の開発に寄与することを目的とする。 本年度は、NASHモデルマウスを対象に末梢血単核球、肝組織中のTregの頻度(数)と抑制機能を評価し、正常マウスとの差異を明らかにすることを目標とした。8週齢、15週齢、22週齢の各マウスの肝臓と脾臓からリンパ球を分離し、CD4抗体、CD25抗体、FoxP3抗体で染色し、フローサイトメトリーでTregの頻度(数)を比較検討した。更にMagnetic beadsで単離したTregを用いて抑制機能を評価し、NASHモデルマウスと正常マウスとの差異について検討を進めている。
|