研究課題
NF-kBは、炎症や酸化ストレスといった全身代謝を規定する重要な転写因子である。このNF-kB経路を血管内皮細胞特異的に遮断したトランスジェニックマウス(E-DNIkBマウス)を作製し、血管内皮細胞NF-kB経路が全身代謝に及ぼす影響の解析を行った。このトランスジェニックマウスは、肥満や加齢に伴うインスリン抵抗性の増悪が抑制、加齢に伴う血圧上昇が抑制されていることが判明した。さらには、長期間の継続飼育により、野生型コントロールの同腹子マウスと比べて寿命が延長することが判明した。インスリン抵抗性改善機序の解明においては、全身における酸化ストレスが軽減していることを血漿の酸化ストレスマーカーで確認でき、また、筋肉における血流が増加しており、筋ミトコンドリア含量の増加・ミトコンドリア機能が上昇していることが判明し、インスリンシグナルの改善に関わる機序の一因であるこという研究実績が得られ論文報告を行った。(Hasegawa Y et al, Circulation. 2012;1122-1133)さらに、同トランスジェニックマウスを用いた解析で、大腿動脈へのカフ留置により血管内膜肥厚をみるカフモデルにて、このマウスでは内膜肥厚の形成が抑制されていることが確認できた。また、動脈硬化発症モデルであるApoE欠損マウスとの交配によりApoE欠損E-DNIkBマウスを作製した。同腹子ApoE欠損マウスにアンギオテンシンII負荷を行うと腹部動脈瘤が形成されるが、このApoE欠損E-DNIkBマウスでは、腹部動脈瘤の形成が抑制されるという結果が得られた。現在、別論文として投稿中である。
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Circulation
巻: 125 ページ: 1122-1133