1)特発性もしくは膠原病に合併する肺動脈性肺高血圧症患者群、肺高血圧を合併しない膠原病患者群、健常ボランティア群の各々20例以上を登録し血漿を保存した。特発性もしくは膠原病に合併する肺動脈性肺高血圧症患者は全例で右心カテーテル検査を行い、肺動脈圧、肺血管抵抗を測定した。 2)保存した血漿を用いて、フローサイトメトリーでNotch3、DLL1、PECAM-1、Endoglin、VE-Cadherin等陽性の血漿マイクロパーティクル数を測定した。これらのマーカーを用いた血漿マイクロパーティクル数と肺動脈圧との間に有意な相関は認められなかった。 3)より的確な表面マーカーの選択のため、in vitroモデルの確立を試みた。肺動脈血管内皮細胞を培養し、肺高血圧症のリスクファクターとして知られている低酸素、セロトニン、BMP阻害剤等に複数組み合わせて曝露させた。特定の組み合わせで、増殖が促進されること、内皮細胞間の接触阻害が抑制されることが確認された。 4)肺高血圧症患者および健常者の血漿中のmiRNAアレイを行った。現在結果を解析中である。 5)現在2)の血漿マイクロパーティクル数と、併発膠原病の病態やその他のパラメーターとの関連を解析中である。また3)の実験系を用いて、エラスターゼ活性など肺高血圧症での変化が知られている所見の再現を評価し、in vitroモデルとしての妥当性を確認している。このモデルでの発現分子の変化および4)の結果を用いてより的確な血漿マイクロパーティクルのマーカーを選択し、再度フローサイトメトリーを行う予定である。これらの結果は血漿マイクロパーティクルを含めたバイオマーカーの検索に有用であるのみならず、肺高血圧の発症機序の解明に有用であると考えられる。
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