研究概要 |
肥満・メタボリックシンドロームにおける心筋lipotoxicityのメカニズムについては、これまでにマウスの経静脈にカテーテルを留置し、直接血管内への投与を行う系を確立した。このモデルについてさらに投与後のマウス血清をThin layer chromatographyによって分離し遊離脂肪酸分画のみを採取した上で、マス解析を行うことによって血中の遊離パルミチン酸レベルのみを安定的かつ特異的に上昇させる系を確立した。また、これまでに心臓の評価系としてmRNA解析の他に心エコー・心筋FACS解析・免疫染色について安定的に解析する系を確立することに成功した。この系を用いてすでに48時間という短期間のパルミチン酸負荷モデルの解析を行った結果、心肥大が認められること、また心臓内にTNFa,IL-6,Cc12といった炎症性サイトカインやケモカインのmRNAが上昇することを同定している。以上の結果は、血中遊離脂肪酸の増加は、心臓死と,2型糖尿病発症、両方に関連する事(Clin Chem Lab Med 46:429)といった臨床研究の結果のメカニズムにういて分子生物学的に説明することを可能にし、さらに治療のターゲットを同定する可能性を広げる結果であると考えており、これを達成するために今後さらにFACS解析などによって炎症細胞の関与の有無を解析し、また炎症への介入が表現系に影響するかなどについて解析を行っていく方針である。
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