研究課題
この度の我々の研究は、腎機能と虚血性心疾患愚者のプラーク組成並びに経時的な変化を調べることである。この研究で、冠動脈プラークの性状は、冠動脈内視鏡や剖検の所見と極めて相関が高いとされているintegrated-backscatter intravascular ultrasound(IB-IVUS)を用いて検討するという特徴のある研究である。本研究の開始された4月よりこれまで約120人の患者に対してIB-IVUSを行った。ベースラインの腎機能を含めた生化学的マーカーと冠動脈プラークとの関連に関する検討を行っており、平成23年度には腎機能と冠動脈プラークの組成に関する経時的な変化に関連がないか、あるいは予後と関連がないかを引き続き検討する。これまでに行った解析で、すでにいくつかの成果が出ている。一点目は、有意狭窄がない左主幹部冠動脈のプラーク組成を調べたところ、不安定プラークに強い関連があるとされるlipid成分とlow-density cholesterolとhigh-density cholesterol比が有意な正の相関があり、安定化プラークに関連が強いとされるfibrous成分は逆に有意な負の相関があることがわかった。二点目は、虚血性心疾患の患者に対して、ステント留置術を行った際に、腎障害を合併する患者では術後のtroponin-Tの上昇が認められやすく、心筋障害を生じ易いことを発見した。三点目は、低high-density cholesterolやlow-density cholesterolとhigh-density cholesterol比の高い患者では冠動脈形成術の際に心筋障害が認められやすいことを発見した。これらの成果は全て平成23年の日本循環器学会総会で発表予定であり、一点目の成果については既に論文投稿中である。
すべて 2011
すべて 学会発表 (3件)