研究課題
この度の我々の研究は、腎機能と虚血性心疾患患者のプラーク組成に関して網羅的に調べることである。この研究の特徴は、integrated-backscatter intravascular ultrasound(IB-IVUS)という、冠動脈内視鏡や剖検の所見と極めて相関が高いデバイスを用いて冠動脈プラークの性状を評価することである。これまで201名に対してIB-IVUSの検討を終了、腎機能の指標である糸球体ろ過量と、冠動脈プラークの性状が極めて高い相関があることがわかった。具体的には、冠動脈の中等度プラークにおいて、糸球体ろ過量とlipid volumeは負の相関(r=-0.68,p<0.001)、そしてfibrous volumeとは正の相関(r=0.69,p<0.001)を示した。一般的にlipidが多くfibrousが少ない冠動脈プラークは急性冠症候群を発症させやすい不安定プラークと関連することが知られており、腎障害患者における心血管イベントめ増加を説明する一つの可能性を示したものと考えられる。さらに、冠動脈形成術を行った際にステント留置を行った患者では、腎障害を合併すると術後のtroponin-Tの上昇が認められやすく、心筋障害を生じ易いことを発見した。これは上記に示した冠動脈プラークの性状と関連しているもの思われる。また、低high-denSity CholeSterolやloW-denSity CholeSterolとhigh-denSity CholeSterol比の高い患者での冠動脈プラーク性状も特徴のあるものであることを示した。
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