研究課題
心血管疾患は、脂質代謝異常、耐糖能異常、高血圧といった危険因子の重複により動脈硬化性病変が形成され、心筋梗塞ひいては心不全へとつながる。近年、マイクロRNA(miRNA)とよばれる18~23塩基長程度の小さなnon-coding RNAがさまざまな疾患の形成に関わることが明らかになってきた。miRNAの心血管疾患形成における役割を解明し、その機能を制御することによる新規治療法の開発へと結びつけるために研究を開始した。本研究では、特に(1)miR-33の脂質代謝異常・動脈硬化形成における役割の解明及び(2)miR-146aの心不全形成過程における役割に注目し研究を行った。昨年度は、miR-33がHDLの形成を負に制御していることおよびmiR-146aがドキソルビシンによる心筋障害に関わっていることを報告した。今年度はさらにこれらの知見を病態モデルマウスを用いて、より詳細に検討を行った。前者においては、miR-33の動脈硬化形成過程における役割をmiR-33欠損マウスと動脈硬化モデルマウスのアポE欠損マウスとを掛け合わせることにより行った。アポE欠損マウスにおいてmiR-33を欠損させることにより動脈硬化の形成が有意に抑制された。miR-33欠損の動脈硬化抑制機序はHDL上昇作用およびマクロファージの機能改善を介していることが明らかとなった。このことから、miR-33の機能抑制は新たな動脈硬化抑制の治療法につながる可能性が示唆された。また、後者についてはドキソルビシン心不全モデルにおいてmiR-146aの機能解析をおこなっており、実験結果を解析中である。
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http://kyoto-u-cardio.jp/kisokenkyu/metabolic/