研究課題
本研究の目的は、広く一般に行われているコレステロール合成抑制薬(スタチン)と比較して、コレステロール吸収阻害薬が冠動脈疾患患者の冠動脈プラーク退縮効果と冠動脈プラーク性状の安定化に及ぼす影響について、血管内超音波法や生化学的マーカー用いて検討することである。平成23年度においては、従来の研究実施計画に則り、コアラボでのIVUS画像および定量的冠動脈造影結果のフォローアップ解析(研究登録9-12ヵ月後)を行った。一次エンドポイントである冠動脈プラーク容積の変化率(試験薬投与後の冠動脈プラーク容積-試験薬投与前の冠動脈プラーク容積)/試験薬投与前の冠動脈プラーク容積×100]を算出したところ、L群(アトルバスタチン単独療法群)に比較し、LZ群(アトルバスタチン+エゼチミブ併用療法群)において冠動脈プラーク退縮率が大きい傾向が確認されている。現時点で症例の登録が進行中であり、今後もフォローアップ解析を継続する予定である。また並行して行った生化学マーカー測定の結果においては、L群に比較し、LZ群においてコレステロール吸収マーカーが早期から有意に抑制されており、エゼチミブ併用投与の効果が確認された。今後は、このエゼチミブによるコレステロール吸収亢進抑制の冠動脈プラーク退縮に与える効果をフォローアップIVUS解析の結果から考察する予定である。またRLP-コレステロールはコレステロール代謝の中で強い催動脈硬化作用を有すると言われているが、L群に比較しLZ群においては、経時的にRLP-コレステロール値が有意に低下していることが確認され、冠動脈プラーク退縮との相関が期待される。なお、平成23年度の実施計画書通り、予後調査も並行して施行中あるが、現在のところ、有害事象の発生はなく、引き続き予後調査を継続する予定である。
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