研究課題/領域番号 |
22790715
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
永田 さやか 宮崎大学, 医学部, 助教 (00452920)
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キーワード | プロアンジオテンシン-12 / レニン・アンジオテンシン / 生理活性ペプチド / 高血圧 / 循環器・腎臓疾患 / ラジオイムノアッセイ / バイオマーカー |
研究概要 |
レニン・アンジオテンシン系(RA系)は、循環器・腎臓疾患の発症や進展において重要な役割を果たしている。そのためRA系阻害薬やRA系の評価は、現在の循環器・腎臓疾患の治療・診断に欠かせないものとなっている。そこで本研究は、1、尿中に存在する未知RA系関連ペプチドの精製・構造解析;2、発見したペプチドの簡便な測定系の確立;3、各疾患患者で新規ペプチドの特徴付け;4、動物実験にて新規ペプチドの病態生理学的役割の解明;5、以上4点の研究を行い、関連疾患での臨床応用を目指すことを目的として行った。 ヒトのRA系新規ペプチドに関しては複数のRA系関連ペプチドを認識可能なラジオイムノアッセイを確立し、胎盤・尿より単離・精製した。精製したペプチドは、単純なペプチド構造ではなく、なんらかの修飾があると考えられた。そこで様々な酵素を用いて精製したペプチドを断片化し、質量分析装置を用いて構造を決定した。また測定用に循環器・腎臓疾患患者の尿と血液を400検体程集める事が出来たため、今後、特異的な測定系を作製して新規ペプチドの病態生理学的意義について明らかにしていく予定である。また低塩刺激やRAS阻害剤をラットに投与した検討によって、レニンに依存する血中RA系とプロアンジオテンシン-12を介する組織中のレニン非依存性のアンジオテンシン産生経路が相互に独立して存在する可能性が示唆された。 これらの成果については、13.研究発表以外に下記の研究会で発表させていただいた。 (1)「ラット血中・組織中のアンジオテンシンII産生におけるプロアンジオテンシン-12の役割」 第2回Molecular Cardiovascular Conference II(2011年9月) (2)「循環器・腎臓疾患の新しいバイオマーカーの開発を目指して」 第2回ペプチド・ホルモン若手研究会IN広島(2012年3月)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の中で最も困難を極めると思われた新規RA系ペプチドの構造を決定する事ができた。現在、特異的なアッセイ系を確立するためにウサギを用いて抗血清を作製中である。また循環器・腎臓疾患患者の尿・血液検体を集めており、測定系を確立できればすぐに測定できるように準備ができている。以上より、本研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
現在、ウサギを使ってRA系新規ペプチドの抗血清を作製中である。この抗血清を使い免疫染色や特異的な測定系の開発を行う。これらの抗血清や測定系を用いることで、RA系新規ペプチドの体内分布、病態生理学的意義の解明(どのような疾患で濃度が上昇するか)を行う。また新規ペプチドの性質(酵素特異性)などについて研究していく予定である。さらにバイオマーカーとしての臨床応用を目指すためには、簡便で特異的なアッセイ系が必要となってくるため、その測定系の改良とサンプルの採取法を検討していく。
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