1.マウス移植心臓モデルを用いた解析 平成22年度中に心臓移植モデルマウスを作製し、移植後1~4週の時点での移植心における交感神経活性を以下の方法で評価し、次に述べる結果を得た。(1)移植心臓内におけるカテコールアミンの生合成を生化学的およびRNA発現レベルで解析し、移植心臓内では経時的にカテコールアミン産生能が回復することが示された。(2)移植心臓に対してMIBGラジオアイソトープ検査を行い移植心臓内でノルエピネフリンの代謝が機能的に行われていることを確認した。(3)交感神経刺激性の薬剤(チラミン塩酸塩)投与によって移植心における交感神経活動亢進の現象が同定され内因性心臓交感神経刺激細胞が生理学的作用を果たしていることを明らかにした。 2.内因性心臓交感神経刺激細胞の起源が心臓神経提由来細胞であることを示し、その細胞が多分化能をもつ事の解析PO・Cre x Floxed-GFPのダブルトランスジェニックマウスを用いて移植心において増加する内因性心臓交感神経刺激細胞の起源が心臓神経提由来細胞であることを示した。また心臓神経提由来細胞が成獣マウスにおいて心筋梗塞後の組織修復に作用し、心筋細胞に分化することを示した(Tamura et al.ATVB 2011)。これらの結果から、心臓神経提由来細胞が内因性交感神経刺激細胞だけではなく、心筋細胞をはじめとする様々な細胞に分化し、障害時の組織修復に寄与することが示された。
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