研究課題
H22年度に引き続き、本課題ではCM-DMLR領域の同定のために、HELP法によるDNAメチル化プロファイルの解析を行った。生体由来心筋細胞集団のDNAメチル化データより、心筋細胞に特異的なDNAメチル化パターンを持つ領域を抽出した。更に包括的に、細胞特異的遺伝子を抽出、比較するために肝臓組織を用いた遺伝子発現およびDNAメチル化パターンの解析を追加した。心筋細胞特異的遺伝子のプロモーター領域に注目した結果、心筋細胞特異的に高発現する遺伝子のプロモーターはES細胞及び肝臓の細胞でメチル化され、心臓の組織でのみ脱メチル化されており、その多くは既に報告されている低CpG頻度を持つ細胞特異的プロモーター領域の特徴を備えていた。一方、心筋特異的ミオシン重鎖タンパクのMyh6・Myh7を始めとする心筋細胞特異的遺伝子群は、プロモーターのみならず、gene body領域(プロモーター以外のエクソン-イントロンを含む遺伝子コード領域)全体が低メチル化状態にあった。これはゲノム全体から見て稀な現象であるが、エピジェネティック状態を集約したENCODE projectデータから、これらの遺伝子のgene body領域には、特にRNAポリメラーゼII(pol II)、脱アセチル化酵素p300およびCTCFが高度に蓄積されていることがわかった。これらDNA結合因子の蓄積は、わずかではあるが他の低メチル化領域にも存在することがゲノムワイドな比較から明らかになったことから、gene body領域の顕著な低メチル化状態が、pol IIなどの蓄積を助け、相乗的に細胞特異的遺伝子の転写活性の効率化に貢献している可能性が考えられる。幹細胞及び発生時間軸に沿った心筋細胞のDNAメチル化profileの完成により、心筋細胞の細胞種特異的遺伝子発現とエピゲノム動態の連係についての新たな知見が加えられた。
23年度が最終年度であるため、記入しない。
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Circulation Journal
巻: 76 ページ: 1703-1711
Genome Research
巻: 21 ページ: 1833-1840
http://researchmap.jp/odamame/
http://www.careerpath-prj.keio.ac.jp/sakaguchi/scholar/m_oda/