平成23年度に予定した研究概要については概ね予定通り進行した。該当年度の結果については平成24年度アメリカ糖尿病学で発表予定である。 【概要】糖尿病性心筋症における12-リポキシゲナーゼの働きについて解明した。12-リポキシゲナーゼはマウス糖尿性心筋症においてその発現が認められ、その代謝産物である12-HETEの産生し、酸化ストレスを惹起し、TNFαを誘導して心筋症の発症・増悪の進展に寄与していた。また12-リポキシゲナーゼを阻害することにより、糖尿性心筋症の発症を予防出来る可能性が示された。 【In vivo】糖尿病性心筋症モデルマウスにおいては12リポキシゲナーゼs及び炎症性サイトカインTNFαの産生の噌強が認められ、心機能の低下が認められた。これらの機能低下が12-リポキシゲナーゼの影響であるかを検証するため、12リポキシゲナーゼノックアウトマウスにSTZを注射し糖尿病心筋症モデルを作成したところ、心機能低下の抑制と炎症性サイトカインの抑制も認めらられ、それはの心筋では誘導された酸化ストレス、TNFαの抑制も確認できた。酸化ストレスに関しては組織学的検討においてもその発現を確認することができた。 【In vitro】ラット培養心筋細胞を高血糖下で12-リポキシゲナーゼ及び炎症性サイトカインの発現上昇が認められた。また高血糖下で12-リポキシゲナーゼ阻害薬を添加したところ、炎症性サイトカインの発現の低下が認められた。さらに酸化ストレス阻害薬を添加することによって12-HETEの下流に酸化ストレスが関与していることが解った。
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