心臓病は我が国の死因第2位で、心不全はあらゆる心臓病の終末像である。心不全は貧血を合併することが多いが、その成因は解明されていない。本研究では、その成因を明らかにし、心不全患者さんの生命予後及びQuality of Lifeの改善を目指す。 本研究では、私が発見した貧血合併心不全の分子機構において、心臓における内在性エリスロポエチン-エリスロポエチン受容体を介したシグナル伝達系が、心保護に作用するのか、をエリスロポエチン受容体ノックアウトマウスを用いて検討した。そして、貧血合併心不全においては、内在性エリスロポエチン-エリスロポエチン受容体を介したシグナル伝達系が心保護的に作用していることをつきとめた。 これまで、エリスロポエチン受容体ノックアウトマウスを用いた心不全における貧血の分子機序を検討した報告は国内外において全くない。心臓におけるエリスロポエチン-エリスロポエチン受容体を介したシグナル伝達系を標的とした治療が、貧血合併心不全発症・予防につながると考えられる。これは新規の研究分野であり、得られた結果の重要性は非常に高いと考えられる。
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