研究概要 |
【背景・目的】FLTはチミジンのアナログであり、FDGとFLTの集積が意味する内容は異なり、本研究ではFDGとFLT-PETの診断能に関して検証する。 【方法】対象は無治療のNSCLC症例。18F-FDG PETと18F-FLT PETを行い、各病変のSUVmaxを測定し、病理組織型やTK1発現との関係を検討した。全身化学療法が施行された症例には治療開始1カ月後にFDGとFLT-PETを行った。 【結果】症例は、悪性疾患29例(腺癌 11例、扁平上皮癌 9例、非小細胞癌 3例、多形癌 1例、小細胞癌 3例、中皮腫 1例、転移性肺腫瘍1例)と良性病変4例。全ての病変のSUVmaxの中央値はFDG: 10.5, FLT: 5.8で2群間に有意差を認めた(P<0.001)。FDGのSUVmaxの中央値は高分化癌と中-低分化癌においてそれぞれ、3.9と22.0で2群間に有意差を認めた(P=0.023)。FLTの集積は2.3と7.5で2群間に有意差は認めなかった。また、FDGとFLTの集積の比(FDG/FLT)は、1.4と2.4で高分化群で低い傾向を認めた(P=0.089)。10 例は化学療法後、2回目のPET検査が行われた。RECISTでPRもしくはCRの判定となった症例のうち、FDG-PETでは全例PMRだったのに対し、FLT-PETでは、8例中5例がPMR、8例中3例がSMRであった。FLT-PETでの評価がRECISTと食い違った症例ではTK1発現が乏しかった。 【結語】FLTとFDGの集積は相関を認めた。腫瘍増殖と腫瘍細胞の代謝活性に分化度によって一定の傾向がある可能性が示唆された。さらに、治療早期の効果判定に関しては、FLTで効果と反する変化がみられ、この原因としてTK1発現の低いためFLT集積に変化が出にくい可能性が想定された。
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