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2011 年度 実績報告書

レジオネラ感染症に対する肺コレクチンの生体防御機構解明と臨床応用

研究課題

研究課題/領域番号 22790764
研究機関札幌医科大学

研究代表者

有木 茂  札幌医科大学, 医学部, 助教 (80464478)

キーワード自然免疫 / 肺コレクチン / レジオネラ
研究概要

肺コレクチンは、レジオネラ感染時の宿主細胞の膜傷害を軽減する。また、レジオネラ菌を取り込んだファゴソームの成熟を促進することで、マクロファージ内でのレジオネラの増殖を抑制する。本研究課題では、肺コレクチンがレジオネラ菌の細胞内増殖を抑制する分子メカニズムを解明することを目的に研究を行なった。昨年度の研究成果から、肺コレクチンはレジオネラ感染により誘導されるオートファジーを抑制することが明らかとなった。レジオネラはIV型分泌装置を介して宿主細胞内に様々なエフェクター分子を注入することで、宿主細胞の免疫応答を撹乱して細胞内で生存する環境をつくることが知られている。これまでの研究成果は、肺コレクチンがIV型分泌装置のはたらきを阻害していることを示唆している。そこで、IV型分泌装置を介して宿主細胞にエフェクター分子を注入すると宿主細胞内のcAMP濃度が上昇するような実験系を用いて、肺コレクチンがIV型分泌装置のはたらきに与える影響を解析した。マクロファージによるレジオネラ菌の食食効率は、肺コレクチン存在下ではむしろ増加する傾向にある。それにもかかわらず、肺コレクチン存在下では、IV型分泌装置のはたらきが有意に低下することが明らかとなった。これらの結果は、肺コレクチンがIV型分泌装置のはたらきを抑制することで、レジオネラ菌が宿主細胞内にエフェクター分子を注入することができず、その結果として細胞内増殖が抑制されていることを示唆している。
肺コレクチンは呼吸器における生体防御にとって非常に重要な役割を果たすことが多くの報告から明らかになってきている。しかしながら、本研究課題の結果から示唆されるような分子機構はこれまでに報告がなく、新規性の非常に高い知見を得ることができた。今後、細胞内寄生菌を原因とする感染症の予防・治療法として応用できる可能性がある。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Pulmonary surfactant protein A protects lung epithelium from cytotoxicity of human β-defensin 32012

    • 著者名/発表者名
      Saito A., et al
    • 雑誌名

      J.Biol.Chem.

      巻: (In press)

    • DOI

      10.1074/jbc.M111.308056

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Diverse functions of pulmonary collectins in host defense of the lung2012

    • 著者名/発表者名
      Ariki S., et al
    • 雑誌名

      J.Biomed.Biotechnol.

      巻: (In press)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 非結核性抗酸菌感染に対する肺コレクチンの生体防御機構2011

    • 著者名/発表者名
      有木茂, 他
    • 雑誌名

      エンドトキシン・自然免疫研究

      巻: 14 ページ: 83-85

  • [雑誌論文] レジオネラ菌に対する肺コレクチンの生体防御機構2011

    • 著者名/発表者名
      齋藤充史, 他
    • 雑誌名

      エンドトキシン・自然免疫研究

      巻: 14 ページ: 79-82

  • [雑誌論文] Pulmonary collectins play distinct roles in host defense against Mycobacterium avium2011

    • 著者名/発表者名
      Ariki S., et al
    • 雑誌名

      J.Immunol.

      巻: 187 ページ: 2586-2594

    • DOI

      10.4049/jimmunol.11000

    • 査読あり
  • [学会発表] 非結核性抗酸菌に対する肺コレクチンの感染防御機構2011

    • 著者名/発表者名
      有木茂, 他
    • 学会等名
      第48回日本生化学会北海道支部例会
    • 発表場所
      北海道・札幌
    • 年月日
      2011-08-05
  • [学会発表] Mycobacterium aviumに対するSP-A・SP-Dの感染防御機構2011

    • 著者名/発表者名
      有木茂, 他
    • 学会等名
      第10回肺サーファクタント分子病態研究会
    • 発表場所
      北海道・札幌
    • 年月日
      2011-06-25
  • [学会発表] Pulmonary collectins attenuate growth of Mycobacterium avium2011

    • 著者名/発表者名
      Ariki S., 他9名
    • 学会等名
      American Thoracic Society International Conference 2011
    • 発表場所
      Denver, USA
    • 年月日
      2011-05-15
  • [学会発表] Pulmonary collectins attenuate autophagy induced by L.pneumophila infection2011

    • 著者名/発表者名
      Saito A., et al
    • 学会等名
      American Thoracic Society International Conference 2011
    • 発表場所
      Denver, USA
    • 年月日
      2011-05-15

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公開日: 2013-06-26  

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